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令和8年度税制改正大綱が発表されました。相続税や贈与税における一定の貸付用不動産の評価方法について、大きな見直しが入りましたのでここで解説します。

02|事前確定届出給与の落とし穴

合同会社や特例有限会社で支払われる事前確定届出給与を損金算入するためには事前の準備が必要です。後になって損金に算入できなかったということにならないよう気をつけましょう。

03|忘年会や新年会と所得税

年末年始の恒例行事として忘年会や新年会を実施する企業も多いかと思います。思わぬ課税リスクを防ぐために知っておきたいポイントを解説します。

04会話の0.2秒を言語学する(新潮社)

部下との会話がうまくいかない。そう感じたことはありませんか。実は会話の成否を分けるのは、わずか0.2秒の「間」です。本書は言葉の仕組みを解き明かし、対話の質を高めるヒントを与えてくれます。

05|お問い合わせについて

06|近況報告

07|相続税、贈与税における土地評価チェックシート

令和8年度税制改正大綱が発表されました。相続税や贈与税における一定の土地の評価方法に関して、大きな見直しが入りましたのでここで解説します。

はじめに

令和8年度税制改正大綱が発表されました。相続税や贈与税の計算における一定の貸付用不動産の評価では大きな見直しが入ったため、影響は大きいと考えられます。

見直しの背景

相続税や贈与税では、不動産の価値を「路線価」や「固定資産税評価額」という国や自治体が定めた基準で計算するのが一般的です。路線価は、地価公示価格や実際の取引事例などを参考に毎年決められており、実際に売買される価格よりも低めに設定されています。目安としては、市場価格の8割程度といわれています。

この仕組みは、全国で統一的に評価でき、計算もしやすいという利点があり、長年にわたり運用されてきました。しかし近年、特に都市部では不動産価格の上昇が続き、実際の売買価格と相続税評価額との間に大きな差が生じるケースが増えています。その結果、現金よりも不動産を保有していた方が、相続税が大幅に軽くなるといった状況が生じ、税負担の公平性に疑問が持たれるようになりました。

時価に近い評価への方向転換

令和8年度税制改正大綱では、一定の貸付用不動産の評価をこれまでの路線価中心の考え方から、より実勢価格(実際の取引価格)に近づける方向で検討が進められています。これは、相続が発生した際の土地の価値を、より現実的な金額で捉えようという考え方です。評価額が実態に近づけば、相続財産の内容による不公平感を減らし、税制全体の納得感を高める効果が期待されています。一方で、これまでより評価額が高くなる不動産も想定されるため、相続税や贈与税の負担が増えるケースも出てくる可能性があります。制度改正の狙いは、税負担の一律増税ではなく、実際の価値に応じた課税を行う点にあるといえるでしょう。

取得後5年以内の土地が対象

今回の税制改正大綱で特に注目されているのが、「相続前5年以内に取得した一定の貸付用不動産」の取扱いです。この期間内に購入した一定の貸付用不動産については、従来の路線価や固定資産税評価額による評価ではなく、購入時の価格を基に評価する方法が検討されています。これは、相続の直前に不動産を購入し、評価額を大きく下げる対策が行われてきた実態への対応と考えられます。短期間で取得した一定の貸付用不動産については、実際に支払った金額を重視し、節税のみを目的とした不動産購入を抑える狙いがあります。なお、長期間にわたり保有してきた貸付用不動産まで一律に影響を与えるものではなく、取得時期に着目した見直しである点が大きな特徴です。

項目現行改正後(案)
評価方法路線価(市場価格の約8割)や固定資産税評価額実勢価格に近い評価
対象すべての不動産相続前5年以内に取得した一定の貸付用不動産
節税効果不動産購入で評価額を下げやすい短期取得では効果が限定的

今後の相続対策でのポイント

この見直しが実現すると、不動産を使った相続対策の考え方は大きな転換点を迎えます。特に、相続を見据えて直前に土地や建物を購入する方法については、従来ほどの節税効果が期待できなくなる可能性があります。そのため、「不動産を買えば相続税が下がる」という考え方は、今後は通用しなくなる恐れがあります。一方で、不動産による相続対策そのものが否定されるわけではありません。保有期間や利用状況、家族構成などによって適切な対策は異なります。法改正の動向を見極め、早めに情報を整理し、ご自身の状況に合った相続対策を検討していく必要があります。

合同会社などで支払われる事前確定届出給与を損金算入するためには事前の準備が必要です。後になって損金に算入できなかったということにならないよう気をつけましょう。

はじめに

合同会社や特例有限会社など、役員の任期が定められていない会社において事前確定届出給与を支払った場合、損金算入ができません。事前確定届出給与を検討する場合には十分な事前の準備が必要です。

事前確定届出給与とは

役員に支給する賞与は、原則として損金算入が認められません。しかし、例外として、「事前確定届出給与」を利用すれば、あらかじめ支給時期と金額を決定し、所轄税務署長へ届出を行うことにより、その支給額が損金として取り扱われます。役員報酬を柔軟に設計したい企業にとって、非常に重要な制度といえます。

制度趣旨としては、恣意的な利益調整を防ぎつつ、適正に計画された役員報酬であれば損金算入を認めるという考え方に基づいています。この点を理解せずに制度を利用しようとすると、届出期限や書面管理が軽視され、結果的に制度を活かせなくなってしまいます。

合同会社・特例有限会社に潜む制度上の問題点

そして、合同会社や特例有限会社には注意すべき点があります。それは、会社法上、役員任期が存在しないという特徴です。また、合同会社には、法律で定められた機関として「社員総会」が存在しません。

株式会社の場合、定時株主総会後1か月以内または事業年度開始日から4か月以内のいずれか早い日までに届出を行うことができます。しかし、合同会社や特例有限会社にはそもそも役員任期という概念が存在せず、また、合同会社には株式会社のような定時株主総会も開催義務がありません。

そのため、制度上求められる届出期限が発生せず、結果として届出自体を行うことが困難な状況に陥ります。その結果、たとえ支給計画を立てていても、事前確定届出給与として損金算入が認められないという問題が生じるのです。

この点は実務でも見落とされやすく、「届出の手続きさえすればよい」と誤解されたまま賞与を支給してしまい、後になって不利な税務判断が下される例が散見されます。制度の存在を知っていても前提条件を欠いていたため使えなかったというケースは税務相談の中でも多いのが実情です。

損金算入できないとどうなるのか

事前確定届出給与が利用できない場合、役員に支給した賞与は全額が損金不算入となり、法人税の負担が増加します。特に役員報酬の調整を節税手段として考えている中小企業では、想定外の税負担が生じるケースが少なくありません。実務では、「制度を理解していたが、届出期限がないことを知らなかった」という誤解から、多額の税負担が発生する例も見受けられます。

賞与は一度支払ってしまうと取り消しが困難であるうえ、対応を誤ると会社の資金繰りにも影響が及ぶため、注意しなければなりません。

対応策と今後の検討ポイント

この問題を解決するには、定款変更を行い、役員に任期を設ける、社員総会を定めるなどの制度的な整備が必要です。任期が設定されれば、「任期開始日」という基準日が生まれ、事前確定届出給与の届出期限が確定します。また、役員報酬の見直し時期や決算スケジュールを踏まえ、制度に適合する形で運用する方法も検討に値します。合同会社や特例有限会社の形態自体が問題なのではなく、仕組みを整えないまま役員賞与を支給してしまう点がリスクであると押さえておく必要があります。

年末年始の恒例行事として忘年会や新年会を実施する企業も多いかと思います。思わぬ課税リスクを防ぐために知っておきたいポイントを解説します。

はじめに

年末年始の社内行事として忘年会や新年会を企画される企業も多い時期です。従業員同士の交流を深め、士気を高める効果を期待できる一方で、会社が負担する費用については税務上の取り扱いが問題となるケースがあります。

社内行事と税務の基本ルール

年末年始の恒例行事として忘年会や新年会を実施する企業も多いでしょう。従業員の慰労や士気向上、コミュニケーション活性化を目的に開催される社内イベントは、職場の雰囲気づくりや組織力向上に寄与するものです。企業活動において無視できない役割を果たしています。税務上は、従業員が会社から受けた利益について所得税の対象になるかどうかが問題となりますが、その取扱いは支給目的や受益者の範囲により異なります。一般的に、全従業員を対象に福利厚生目的で実施される忘年会や新年会に参加し、その飲食や会場費の提供を受けたとしても、従業員個人が経済的利益を享受したとはみなされず、給与課税の対象にはなりません。

忘年会や新年会が役員のみ、特定部署のみといった限定的な範囲で行われず、参加の機会が平等に与えられている場合には、通常は福利厚生費として処理されます。その場合、企業側の経費計上に問題が生じるケースもありません。したがって、忘年会や新年会自体は税務リスクを心配する必要がないケースが大半ですが、運営方法によっては例外が発生し得る点を押さえておく必要があります。

景品や賞品には注意が必要

一方で、忘年会や新年会の余興として人気の高いビンゴ大会や抽選会などで提供される景品は、飲食提供とは異なる取扱いとなります。

この景品は業務遂行上必要なものではなく、従業員個人に帰属する利益であると判断されるため、税務上の所得区分が問題になります。ここで押さえておきたいのは、ビンゴ大会や抽選で受け取った景品は「一時所得」に該当するという点です。一時所得とは、継続性がなく偶発的に得られる収入を指し、競馬の払戻金や懸賞金、キャンペーン当選品と同様の扱いとなります。ふるさと納税の返礼品なども一時所得に該当する代表例です。年間の一時所得の合計金額から50万円の特別控除が認められていますが、景品が高額である、または他の一時所得と合算した場合には課税対象となる可能性が生じます。あまり知られておらず、注意が必要です。

景品の種類税務上の扱い会社の対応
物品(家電、食品など)常識的な範囲なら福利厚生費として処理可能。高額の場合は一時所得高額な場合は従業員への説明を推奨
現金原則として「給与(賞与)」扱い源泉徴収が必要
商品券・ギフトカード原則として「給与(賞与)」扱い源泉徴収が必要

リスクを避けるためにできること

忘年会や新年会の税務処理では、行事の目的、対象範囲、提供内容を事前に整理することが重要です。行事全体が福利厚生として認められれば、従業員への飲食提供は給与課税の対象外となります。一方、景品は所得の性質が異なるため、金額・種類・受領者を把握し、必要に応じて所得区分を説明できる体制を整えてください。

経理処理では福利厚生費と交際費の区分に留意し、税務調査時に説明できる記録を残すことが大切です。開催前にルールを確認しておけば、不要な課税トラブルを防げます。

はじめに

本書は、YouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で人気の水野太貴氏による著書です。会話で相手に返事をするまでの0.2秒に、私たちの脳内で何が起きているのでしょうか?著者は言語学の研究者ではなく、編集者として働いているため、難解な理論も分かりやすく伝えられています。言葉で悩む人への処方箋となる内容が詰まった一冊です。

0.2秒に隠された会話の奇跡

会話では、一人が話し終えると別の人が話し始めます。この話者の交代を「ターンテイキング」と呼びます。驚くべきことにターンテイキングにかかる時間は平均わずか0.2秒です。この短時間で脳は相手の発言を理解し、意図を解釈し、応答を組み立てています。

ウェブサイトやアプリで快適とされる応答時間は0.4秒ですが、私たちはその半分の速さでやり取りをしています。世界陸上でウサイン・ボルトが世界新記録を出した際、2位との差は0.13秒でした。私たちは日常会話で、それに匹敵する超高速の情報処理を無意識に行っています。本書を読むと、当たり前に思えていた会話が、実は奇跡的な営みであることに気づかされます。

なぜ間が空くと不安になるのか

人は0.4秒以上待たされると興味を失う傾向があります。応答が0.6秒を超えると「気乗りしていない」と判断されやすくなります。間の長さそのものが、相手へのメッセージになっているのです。

「あのー」と「えーと」の違い

「あのー」や「えーと」といったフィラーは、意味のない言葉だと思われがちです。しかし本書によると、これらには明確な役割があります。「えーと」は何を言うか考えている時に出る言葉です。一方「あのー」は、どう言うか考えている時に出る言葉です。たとえば上司に仕事の進捗を聞かれた際、「えーと」と答えると、忘れていたのかと受け取られる可能性があります。「あのー」であれば、言い方を考えていると伝わります。

何気なく発している一言にも、相手への印象を左右する力があることを本書は教えてくれます。普段の会話を少し意識するだけで、コミュニケーションの質は変わるのかもしれません。

沈黙が伝えるメッセージとは

肯定的な応答は平均35ミリ秒、否定的な応答は60ミリ秒のギャップがあるそうです。わずか0.025秒の差ですが、人は無意識にこれを感じ取っています。沈黙は言葉以上に、相手の心理状態を伝えています。部下との面談で沈黙が生まれた時、それは単なる空白ではありません。相手が何を考えているのか、どんな気持ちでいるのかを読み取るヒントになります。沈黙を恐れるのではなく、その意味を考える姿勢が、対話の質を高めることにつながります。

日本語は世界一せっかちな言語?

日本語話者のターンテイキングは、他の言語圏に比べて短い傾向があります。文化的な違いが、会話のテンポにまで影響しているのです。せっかちさは、効率的なやり取りを好む日本文化の表れとも言えます。相手を待たせたくないという気づかいが、結果として会話を速くしている面もあるでしょう。

本書は言語学の視点から、私たちが普段使っている日本語の特性を浮き彫りにしています。言語の特性を知ることは、自分自身のコミュニケーションの癖を知ることにもつながります。部下との対話を振り返る際の、新たな視点を与えてくれる一冊です。

当事務所へのお問い合わせについて

今月の事務所だよりはいかがでしたか?

来月も充実した内容でお届けしていきますので、よろしくお願いいたします。

なお、今回の内容に関して、ご不明点やご依頼などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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