法務省はこの度、令和6年度末における、相続土地国庫帰属制度の運用状況について、公表しました。相続土地国庫帰属制度は、相続人が相続又は遺贈によって土地を取得したものの、活用する予定がない等の理由で、放置した結果として、将来的に「所有者不明土地」が発生することを予防するために設立された制度です。
制度の概要
相続又は遺言によって土地の所有権を取得したものの、「所有者不明土地」となることを避けるため、一定の要件を満たした場合には、国に対して一定の負担金を納付したうえで、土地の所有権を手放し、国庫に帰属させることを可能にする制度です。なお、この制度の運用を受けるためには、事前に土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)の不動産登記部門での手続きを行ったうえで、法務大臣の承認を受ける必要があります。
令和6年度の運用状況
昨年12月末段階で、この制度の申請件数は全国で3199件、地目別では田畑の1,195件が最多で、宅地の1,135件、山林505件と続きます。
また、3,199件のうち、帰属が実際に承認された件数は、1,186件で、制度の開始から約1年半で1,000件を超えました。一方で、承認を却下されたのは51件。また、取下げ件数は500件となりました。取下げの主な要因としては、自治体や国の機関による土地の有効活用が決定したことや、農業委員会の調整等が挙げられます。
まとめ
この制度は、現代社会の課題を踏まえて運用が始まった制度であり、この制度を活用することで、土地の所有権の取得後に生じる、固定資産税等の租税公課の支払いや土地管理のための時間や労力も省けて、処分のため売却等の手続きを行う必要もありません。制度適用には一定の要件がありますので、事前にご相談ください。