相続税の調査状況について
令和5年事務年度の相続税の実地調査件数は、前年度比4.4%増加し、8.556件。申告漏れ等の非違があった件数も2.3%増の7,200件。税額に関しては、実地調査と簡易な接触を併せた調査等の追徴税額は過去最高の前年度比3,4%増加し857億円となりました。なお、申告漏れ課税価格については4.4%増の2,745万円であり、実地調査1件あたりの申告漏れ課税価格は前年とほぼ同じで3,208万円であり、1件あたりの追徴税額は5.2%増の859万円でした。
現在、国税庁では実地調査に加え、お尋ねや電話または税務署への来署依頼による面接などの「簡易な接触」も積極的に行っています。簡易な接触の接触件数は大幅に増加して前年度比25.2%増の18,781件と大幅に増加しています。
相続税の「無申告事案」と「海外資産関連事案」
「無申告事案」は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平化を著しく損なうものであることから、資料情報の収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、課税処理に力を入れています。
無申告事案に関して、令和5事務年度において追徴税額は前年度比11,4%増の123億円、公表を始めた平成21事務年度以降で最高になっています。
また、「海外資産関連事案」は、納税者の資産運用の国際化に対応し、相続税の適正な課税を実現するため、CRS情報をはじめとした租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用し、海外取引や海外資産の保有状況の把握も積極的に行っています。
AIの活用について
相続税の調査先の選定にあたっては、和5年分相続税からAIを活用し始めており、令和6事務年度に実地調査を実施しています。