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 現在、高齢化社会が進む中で、相続や相続対策などと関わる機会もあるかと思います。遺言者にとって“遺言”は、その内容が実現されることで意味を持ちます。そして、遺言の内容を実現させる役割は、「遺言執行者」が担います。

遺言執行者の役割とその選任方法

 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理及びその他の遺言の執行に必要なすべての行為をする権利義務を有します。この遺言執行者は、遺言者(被相続人)によって、遺言内で指定又は指定することを第三者に委託することができます。なお、遺言執行者としては、弁護士等の専門家だけではなく、遺言者の相続人や受遺者、信託銀行などの法人、複数の者を指定することも可能です。

遺言執行者に指定されたら

 相続が実際に発生したのちに、遺言公正証書や自筆遺言証書などの遺言書によって、遺言執行者に指定されていた場合は、まず遺言書自体が民法に定められた遺言の方式に沿って、作成されているか否かを判断します。そのうえで、遺言執行者が就任を承諾した場合は、状況によりますが、遅滞なく遺言の内容を相続人へ通知し、相続財産目録を作成して相続人に交付する必要がある場合もあります。また、相続人の相続財産の中に預貯金等がある場合は、遺言執行者は、相続人間のトラブル回避などのためにも、金融機関に対して遺言書がある旨等の通知を行ったうえで、預貯金の払い戻し請求や解約の申し入れなどをすべきと思われます。このように、遺言執行者は、遺言者の相続財産に基づいて、金融機関や保険会社等と連絡を取りながら、業務を進めてゆく必要があります。

 特に、遺言書が自筆遺言書である場合や複数の遺言書が存在する場合、仮に民法に定められた遺言の方式に沿って作成された遺言書であっても、疑問がある場合などは注意が必要です。