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従業員が自家用車を利用する場面は少なくありません。しかし、通勤と業務利用では税務上の取扱いが異なり、支給方法によっては給与課税の対象となることもあります。

はじめに

従業員が自家用車を利用する場面は少なくありません。しかし、通勤と業務利用では税務上の取扱いが異なり、支給方法によっては給与課税の対象となることもあります。今回は、そのポイントを整理してご紹介します。

マイカー利用には「通勤」と「業務」の2つがある

従業員が自家用車を利用する場面は、マイカー通勤だけでなく、営業先への訪問や現場への移動など、業務上でも少なくありません。

一口に「マイカー利用」といっても、税務上は「通勤」と「業務」では取扱いが異なります。通勤とは、自宅と勤務先との往復を指します。一方、業務利用とは、得意先への訪問や現場への移動など、会社の業務を行うために自家用車を使用するケースです。どちらも会社から手当を支給することがありますが、支給方法を誤ると給与課税の対象となる可能性があります。

通勤手当は一定額まで非課税

従業員がマイカーで通勤する場合、多くの会社ではガソリン代相当額を通勤手当として支給しています。

この通勤手当は、所得税法上、通勤距離に応じた一定額までは非課税とされています。

そのため、通勤距離の区分ごとに定められた非課税限度額の範囲内で支給している限り、従業員の給与として課税されません。なお、限度額を超える部分は給与として課税されます。一方で、「役職に応じて一律○万円」「距離に関係なく全員同額」といった支給方法では、通勤費ではなく給与と判断される可能性があります。なお、令和7年11月の政令改正により、令和8年4月1日以降に支払われる通勤手当から、距離区分ごとの非課税限度額が引き上げられています(片道65km以上の区分の新設、一定の駐車場料金〈月5,000円まで〉の非課税枠の追加など)。支給基準が改正前の限度額のままになっていないか、確認しておきたいところです。また、税務上問題がなくても、労務管理の観点からは通勤手当規程を整備し、支給対象や支給額の算定方法を明確にしておくことが望ましいでしょう。

業務で自家用車を使う場合はどう考える?

得意先への訪問や現場への移動など、会社の業務のために自家用車を利用した場合は、ガソリン代、高速道路料金、駐車場代などを会社が負担します。

これらを実際にかかった費用に基づいて精算するのであれば、通常は給与課税の問題は生じません。

また、ガソリン代を毎回精算する代わりに、「1キロメートル当たり○円」といった合理的な基準で支給する方法も広く採用されています。一定の根拠に基づく実費弁償であれば、税務上も受け入れられやすいと考えられます。注意したいのは、「毎月2万円の車両手当を支給する」といった定額支給です。実際の利用実績とは関係なく支給される手当は、実費弁償ではなく給与と判断される可能性があります。

もちろん、会社が「車両借上料」として定額を支払うケースもありますが、その場合には、車両の使用状況や会社負担の考え方などを十分整理し、契約内容を明確にしておくことが重要です。

従業員が安心して会社のために車を利用できる環境を整えることは、適正な税務処理だけでなく、公平な人事制度や円滑な労務管理にもつながります。一度、自社の支給方法や社内規程を見直してみてはいかがでしょうか。