決算書の数字だけでは見えてこないものです。日々さまざまな企業を見ていると、「少し改善するだけでもっと良くなるのに」と感じる会社には、いくつかの共通点があります。
はじめに
決算書の数字だけでは見えてこないものです。日々さまざまな企業を見ていると、「少し改善するだけでもっと良くなるのに」と感じる会社には、いくつかの共通点があります。今回は、その中でも特に多く見受けられるポイントをご紹介します。
会社と個人のお金が混ざっている
最も多いのが、会社のお金と社長や従業員個人のお金の区別が曖昧になっているケースです。例えば、会社のクレジットカードで私的な買い物をしたり、個人のクレジットカードで会社の経費を立て替えたりすること自体は、必ずしも問題ではありません。
しかし、それが日常的になり、精算も曖昧になると、経理担当者の負担が増えるだけでなく、税務上の説明も難しくなります。
また、役員貸付金や仮払金が長期間残っている会社も少なくありません。「後で整理すればいい」と考えているうちに金額が大きくなり、決算書の見栄えや金融機関からの評価にも影響することがあります。
また、役員貸付金には、会社が利息を受け取るべきものとして扱われる「認定利息」の論点もあります。税務調査でも説明を求められやすい項目のため、金額が大きくなる前に精算の計画を立てておくことが大切です。
社内ルールが担当者任せになっている
旅費交通費、交際費、マイカー利用、在宅勤務手当など、日常的な経費について明確なルールがない会社も意外と多くあります。「今まではこのやり方だったから」「前任者から引き継いだから」という理由だけで処理が続けられているケースも少なくありません。
しかし、担当者が変わった途端に処理方法が変わったり、同じような支出でも部署によって取扱いが異なったりすると、社内でも混乱が生じます。
税務調査でも、「この会社ではどのようなルールで運用していますか」と確認される場面は少なくありません。
利益は見ているのに、お金は見ていない
毎月の試算表で売上や利益を確認していても、資金繰りまでは十分に把握していない会社があります。
利益が出ていても、売掛金の回収が遅れたり、多額の設備投資を行ったり、借入金の返済が重なったりすると、手元資金は減少します。
反対に、一時的に利益が少ない月でも、資金繰りには余裕があることもあります。会社を経営するうえで重要なのは、利益だけではありません。「今、自由に使える現金がいくらあるのか」「来月、再来月の資金繰りは問題ないか」という視点を持つことが、安定した経営につながります。
特別な節税より「当たり前」を整える
経営者から「何か良い節税策はありませんか」と質問を受けることがあります。もちろん、税制上の特例や優遇制度を活用することは大切です。しかし、会社が長く安定して成長していくためには、特別な節税策よりも、日々の基本を整えることの方がはるかに重要だと感じています。
会社と個人のお金を明確に区別すること。社内ルールを整備すること。利益だけでなくキャッシュの動きにも目を向けること。どれも特別な知識や多額の投資は必要ありませんが、積み重ねることで会社の経営基盤は着実に強くなります。
