▶インボイス制度が開始されてから2年が経過し、各社とも日常業務として定着してきた頃かと思います。一方で、慣れてきたことで確認が甘くなっている可能性もあります。
はじめに
インボイス制度が開始されてから2年が経過し、各社とも日常業務として定着してきた頃かと思います。一方で、導入当初は慎重に対応していたものの、運用が慣れてきたことで確認が甘くなり、知らないうちに誤った処理が続いているケースも見受けられます。このタイミングで一度、自社の運用の見直しが重要です。
インボイスの基本を再確認
インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために「適格請求書(インボイス)」の保存が必要となります。適格請求書には、登録番号や適用税率、消費税額などの記載が求められ、これらが欠けている場合には原則として仕入税額控除が認められません。
日々の取引の中で「なんとなく確認している」状態になっていないか、改めてチェックが必要です。
よくある実務上の見落とし
実際の現場では、次のようなミスが多く見られます。
① 登録番号の未確認
請求書に登録番号が記載されていても、それが有効な番号かどうかを確認していないケースがあります。
② 税率・消費税額の記載もれ
軽減税率が混在する取引では、記載ミスが起こりやすくなります。
③ 簡易な領収証での処理
内容が不十分な領収証をそのまま処理してしまい、後から控除が認められないケースがあります。
④ 電子データの保存不備
メール添付の請求書などを適切に保存していない場合、電子帳簿保存法の要件も含めて問題となる可能性があります。
免税事業者との取引の取扱い
インボイス制度開始後も、免税事業者との取引は引き続き存在します。この場合、原則として仕入税額控除はできませんが、現在(2026年9月まで)は経過措置として80%の控除が認められています。ただし、令和8年度税制改正により、2026年10月以降は70%、2028年10月以降は50%、2030年10月以降は30%と段階的に縮小し、2031年10月以降は廃止となります。2026年10月まで残り数か月のため、免税事業者との取引状況を早めに整理しておきましょう。また、取引先が課税事業者に転換している場合もあるため、定期的な確認が重要です。
税務調査で見られるであろうポイント
インボイス制度に関しては、税務調査で次の点が重点的に確認されると想定されます。
- 適格請求書の保存状況
- 記載事項の不備の有無
- 免税事業者との取引の処理方法
- 社内でのチェック体制の整備状況
単発のミスであればそこまで細かく見られない場合もありますが、継続的に誤った処理をしていないかが重要です。担当者任せにせず、社内ルールとして仕組み化することが大切です。
インボイス制度は導入から時間が経ち、見落としや形骸化が起こりやすい段階に入っています。「最初はしっかりやっていたが、今は確認していない」という状態が最もリスクが高いといえます。この機会に運用を見直し、正しい処理が継続できているかを確認しておきましょう
