はじめに
今年も年末調整の時期が近づいてきました。年末調整は毎年行う手続きなので、前年と同じように処理すればよいと思いがちですが、令和8年分は注意したい変更がいくつかあります。特に、基礎控除や給与所得控除、扶養親族等の所得要件、生命保険料控除の見直しは、従業員本人だけでなく、配偶者や子どもの収入状況にも関係します。
基礎控除と給与所得控除の見直し
基礎控除とは、所得税を計算するときに所得から差し引ける控除です。令和8年分では、この基礎控除が、本人の合計所得金額に応じて引き上げられました。
また、給与収入から差し引く「給与所得控除」の最低保障額も、令和8年分と令和9年分は65万円から74万円に引き上げられました(令和10年分以後は69万円)。
給与所得控除は、会社員やパート、アルバイトの方の所得を計算するときに使う仕組みです。給与収入そのものに税金がかかるのではなく、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額をもとに所得税を計算します。
今回の改正により、給与収入が比較的少ない方は、これまでより給与所得の金額が小さくなる場合があります。そのため、本人の税額だけでなく、家族を扶養控除の対象にできるかどうかの判定にも影響します。
扶養控除の対象になる給与収入の目安も変わります
扶養控除の対象となる親族については、令和8年分から合計所得金額の要件が62万円以下になりました。収入が給与だけの場合には、令和8年分と令和9年分は給与収入136万円以下が一つの目安になります。令和7年分は給与収入123万円以下が目安でしたので、金額が変わっています。
例えば、大学生の子どもがアルバイトをしている家庭では、今年の収入見込みが判定の分かれ目になります。「昨年も扶養だったから今年も大丈夫」と考えず、令和8年分の基準で確認しましょう。
また、19歳以上23歳未満の親族については、一定の所得がある場合でも段階的に控除を受けられる「特定親族特別控除」があります。子どものアルバイト収入が増えたからといって、直ちに控除がすべてなくなるとは限りません。
生命保険料控除にも新たな特例
令和8年分と令和9年分は、23歳未満の扶養親族がいる場合について、一般生命保険料控除の特例が設けられました。
平成24年以降に締結した生命保険契約(新生命保険料)の控除額は、通常は最高4万円ですが、この特例の対象となる場合には最高6万円になります。生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。
「前年と同じ」で処理しない
年末調整では、保険料控除証明書や住宅ローン控除関係の書類を集めるだけでなく、配偶者や扶養親族の所得見込額も確認します。
今年は制度変更があるため、前年の申告内容を写さず、今年の収入と家族の状況で判定し直してください。会社側も、従業員から提出された申告書について、扶養親族の年齢や所得見込額などを確認する必要があります。
